陸マイラーにも魅力的なSPGアメックス

スターウッド プリファード ゲスト アメリカン・エキスプレス・カード。

通称 SPG AMEXカードは、ホテルサービスに特化したクレジットカードですが、陸マイラーに人気のカードでもあります。

理由として、

  • 高い還元率
  • ポイントを30以上の航空会社(ANA、JAL含む)のマイルに交換可能

という、ホテルの特典以外のところが注目ポイントです。

ここでは、SPG AMEXについて、少し詳しく紹介します。

スターウッド プリファード ゲストとは

スターウッドプリファードゲスト(以下SPG)とは、スターウッド・ホテルズ&リゾーツ・ワールドワイドという世界規模で展開する大型ホテルチェーンの会員プログラムの名称です。

グループのホテルは以下の10のブランドで構成されています。

  • セントレジス
  • ラグジュアリーコレクション
  • W
  • ウェスティン
  • ル・メリディアン
  • トリビュートポートフォリオ
  • シェラトン
  • アロフト
  • エレメント
  • フォーポインツ・バイ・シェラトン

ホテルグループも航空会社同様、上級会員制度を持っており、SPGの会員資格は、下記のようになっています。

資格(ランク)プリファードゴールドプラチナ
条件-年間10滞在
または
25泊
年間25滞在
または
50泊

別にSPGライフタイム資格がありますが、これは、「所定の宿泊数をこなし、エリート会員資格を所定の年数保有」した場合に獲得できるものです。特典内容自体は、ゴールド・プラチナと同じです。

SPG AMEXは、SPGゴールドの資格が付帯しており、上記の条件を満たさなくてもいきなりゴールド会員の特典を教授できるカードで、ホテル版SFC/JGCとも言えるクレジットカードになります。

しかも、スターウッドグループは、2016年にマリオットグループと合併しました。その際、SPGの上級会員はマリオットの上級会員特典も享受できるようになりました。

リッツカールトンもマリオットグループのため、SPG AMEXを所有すると、スターウッド・マリオット・リッツカールトンの上級会員資格を宿泊しなくても獲得することができます。

SPG AMEXのスペック

年会費

年会費は31,000円(税抜)とゴールドカードの中では高額な分類に入ります。

SPGグループの上級会員資格が付いて、その他のサービスはアメックス ゴールド並(アメックスゴールドの方がやや上ですが)なので、ある程度は仕方ないのですが、誰でもが「ちょっと作っとこう」というようなレベルでもないと思います。

本会員の年会費がアメックスゴールドに対して+2,000円くらいなのですが、家族カードで差が出ます。

アメックスゴールドが1枚目無料に対して、SPGアメックスは15,500円なので、家族カードまで考えると、年会費で17,500円の差が出ます。
更に、家族カードには、最大の特典であるSPGゴールドが付帯しませんし、継続時の無料宿泊特典もありません。

家族カードを発行するくらいなら、もう一枚本会員を申し込むかアメックスゴールドを持った方がマシです。

特典1 SPGゴールド会員資格付帯

本カードの最も大きな特徴であり、最も大きな特典だと思います。

本来、既定の回数の宿泊が必要なところ、このカードを持つだけで「ゴールド会員資格」が付いてきます。

ゴールド会員は、以下を初めとする様々な特典をホテル滞在時に利用できます。

  • スターポイント50%ボーナス。
    通常、宿泊時に獲得可能なポイントが1$=2ptのところ、1$=3ptになります
  • レイトチェックアウト時間の延長 (16:00まで)
  • 上位グレードの部屋への当日アップグレード(チェックイン時の空室状況による)
  • チェックイン時にウェルカム・ギフトを用意
    ボーナススターポイント、部屋での無料高速インターネット接続、ドリンク一杯のいずれか

特典2 継続ボーナス

無料宿泊特典

カードを継続すると、世界各地SPGグループのホテルに一泊一室(2名まで)無料で宿泊できます。(スタンダードルーム)

SPGグループは、ホテルをカテゴリ1~7に分けており、その中のカテゴリ1~6が対象です。参考までに、日本のカテゴリ1~6のホテルを下表にまとめておきます。

ホテルカテゴリー
フォーポイントバイシェラトン函館2
キロロトリビュートポートフォリオホテル北海道4
シェラトン北海道キロロリゾート4
ウェステインナゴヤキャッスル4
シェラトン都ホテル大阪4
ウェスティンホテル淡路リゾート&コンファレンス4
神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ4
ウェスティン都ホテル京都5
ウェスティンホテル仙台5
ウェスティンホテル大阪5
シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート5
シェラトングランドホテル広島5
横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ5
シェラトン都ホテル東京5
シェラトン沖縄サンマリーナリゾート6
セントレジスホテル大阪6
シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル6
ウェスティンホテル東京6
ウェスティンルスツリゾート6

特典利用の宿泊日には制限はなく、空室さえあればいつでも予約可能です。

ホテルによっては、年会費分がこれだけでペイできるところもありますし、ハイシーズンであれば遥かに高額の宿泊料金になりますので、結果的にお得ですね。

エリート会員資格取得用クレジット

カードを継続すると、2滞在分と5泊分の実績がプレゼントされます。

ゴールド資格の上にプラチナ資格があるのですが、この達成条件が「25回滞在もしくは50泊」なのですが、カード継続すると、上記実績がプレゼントされます。

プラチナになると、ゴールドよりも更に上位の特典を獲得できます。例えば、部屋の無料アップグレードの際に、スイートルームまでアップグレード可能になり、朝食とラウンジのサービスも受けることができるようになります。

特典3スターポイントの獲得と利用方法

スターポイントとは

SPG AMEXの利用では、通常のAMEXのメンバーシップリワードではなく、スターポイントが貯まります。

スターポイントは、除外日なしで無料宿泊特典に交換できる他、航空券への交換、マイルへの交換が可能です。

また、宿泊特典やホテルサービスを受ける場合、ポイントと現金(またはクレジットカード)の併用が可能です。

還元率

還元率は、100円=1ptで1%です。(1pt=1円とは限りませんが)

更に、スターポイントはグループホテル宿泊時には1$=3ptですので、このカードで支払うと、合計で4pt獲得となり、ホテル利用に関しては4%程度になります。(支払い時は100円=1ptですが、宿泊でのボーナスは1$=3ptなので、為替レートで変わります)

いずれにしても、SPGグループホテル利用に関して言えば、高い還元率です。

 有効期限

スターポイントの有効期限は、ポイントの最終加算から1年なので、使い続けている限りは有効期限無期限と同じです。

死蔵する人はあまりいないと思いますが、その場合でも年に1回は利用した方がいいでしょう。

入会ボーナス

入会後3ヶ月以内に100,000円以上利用すると、ボーナスとして、10,000ptがプレゼントされます。(基本カード会員のみ対象。年会費などは対象となりません。)

 宿泊に交換

貯めたスターポイントはグループホテルの無料宿泊に利用できます。

基本的に、SPG公式サイトではスタンダードルームしか載っていないのですが、電話で予約する場合は、各ホテルの裁量で決められているポイントを支払うことで、グレードの高い部屋に無料宿泊することもできます。

また、繁忙期であっても最高ランクのカテゴリー7のホテルにも利用できるので、繁忙期に高ランクのホテルで使うと、スターポイントの価値が跳ね上がります。

5連泊すると、5泊目はスターポイント不要となり、4泊分のポイントで5泊可能になりますので、長期滞在の場合は狙ってみるといいと思います。

キャッシュ&ポイント

スターポイントを使うことで、無料宿泊が可能ですが、ポイントが足りない場合は、現金を併用することも可能です。

これを「キャッシュ&ポイント」といいますが、この場合対象客室の選択肢が広がる場合が多いです。

必要となる現金とスターポイントの組み合わせは自在ではなく、決まっていますので、その点は注意です。

必要となるお金は、USDで設定されていますので、円高の時に利用するとより効果が高いでしょう。

なお、SPG公式サイトで検索するとスタンダードルームしか出てきませんので、それ以外の部屋の場合はSPGに電話をするとより高いグレードの部屋も予約可能です。

もう一つの注意は、無料宿泊と違い、キャッシュ&ポイントには適用除外日があります。いつでも使えるわけではないので、ご注意を。

航空券に交換

SPG公式には、SPGフライトというサイトがありますが、こちらからスターポイントを利用しての航空券予約ができます。

利用可能な航空会社は、150以上のエアラインにのぼり、世界中で利用可能な上、特典除外日も設定されていません。

必要スターポイントは、航空券価格(ドル建て)によって異なりますが、下記のように設定されています。

スターポイントは、一部を除いて航空会社のマイルと1:1 で交換できるので、マイルでの特典航空券と比較すると割高にはなりますが、特典除外日がないのと会員でない航空会社のチケットも購入できるので、マイルの特典航空券が取れない場合などに利用すればいいと思います。

スターポイントをマイルに交換

陸マイラーにとっての関心は、このポイントをマイルにできるか?ということですが、30以上の航空会社のマイルに交換可能です。

ANA/JALの場合、1pt=1マイルに交換可能なのですが、実はこの交換には
20,000スターポイントをまとめて移行すると、5,000マイルが追加される
という、ボーナスポイントがあります。

つまり、20,000pt=25,000マイル=125%です。
元の還元率が、1%ですので、1.25%のマイル還元率になります。

20,000pt=2,000,000円なので、けっこう大変に感じますが、スターポイントの有効期限は、前述の通りポイント最終加算から1年なので、利用していればいつかは貯まるでしょう。

スターポイントを購入

通常のクレジットカードのポイントと違い、1年に1アカウントあたり30,000ポイントまでですが、スターポイントは購入が可能です。

価格は、通常で、1pt=0.035USDなので、為替でも変わるのですが、1$=100円とした場合の還元率は100円=1$=28ptなので、クレジットカードでの買い物よりは高還元ですね。

また、このスターポイントの購入はキャンペーンが開催される場合があり、25%割引等があったりします。

円高の時にキャンペーンを利用すると結構なポイントが購入可能かもしれません。

ポイントの購入がお徳かどうかはちょっと判断し難いところではありますが、特典までちょっと足りないというような場合に利用するのはいいかなと思います。

特典4 トラベル・サービス

空港でのサポートや保険・補償はほぼアメックスゴールドと同じです。

異なる点としては、アメックスゴールドは年会費無料でプライオリティパスが付帯するのに対し、SPGアメックスには付帯してこないという点くらいです。

プライオリティパスの代わりにSPGゴールドの特典が付帯するという感覚でしょうか。

空港ラウンジ

プライオリティパスは付帯しませんが、アメックス提供する国内外のラウンジを同伴者1名と無料で利用できます。

国内にはかなりの数があるのですが、海外の空港は、ハワイダニエル・K・イノウエ国際空港(旧・ホノルル空港)と韓国仁川国際空港くらいなので、海外旅行では心もとないかもしれません。

手荷物無料宅配サービス

海外旅行からの帰国時に空港から自宅まで、カード会員1人につきスーツケース1個を無料で配送(成田交際空港、中部国際空港、関西国際空港)

保険・補償

  • 最高1億円の旅行傷害保険
    死亡・後遺傷害(最高1億円)以外にも、傷害治療、疾病治療、救援者費用などの様々な保険が自動付帯しています。
    補償額はアメックスゴールドと同じです。
  • 航空便遅延費用補償
    基本カード会員本人が海外に出た際に、航空便の遅延により臨時に出費した宿泊料金や食事代が補償されます。(最高2万円)
  • オーバーシーズアシスト
    レストランの予約から緊急の相談まで、世界中ほとんどの国から24時間無料通話またはコレクトコールで連絡でき、海外旅行先からも日本語でのサポートを受けることができます。

その他

  • エアポート送迎サービス
    海外旅行の出発・帰国時に、提携タクシー会社(MKグループ)の車を専用でチャーターし、利用可能地域の指定場所から空港間の送迎を割安の定額料金で提供します。(成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港)
  • 無料ポーターサービス
    出発時は空港の駅改札付近の指定場所からチェックインカウンターまで、帰国時は到着ロビーから駅改札付近の指定場所やバス停まで、専任スタッフが荷物を運びます。
  • 空港クロークサービス
    乗継便の待ち時間などに、空港内手荷物預かり所にて荷物を無料で預かります。
  • エアポート・ミール
    H.I.S.アメリカン・エキスプレス・トラベル・デスクにて本特典の対象となる国内線航空便を購入すると、羽田/伊丹空港内の対象飲食店にて搭乗当日に利用可能なエアポート・ミール・クーポン(1,000円相当)をもらえます。
  • 空港パーキング
    空港周辺のアクセス良好な場所で、旅行中に車を安全かつ低価格で預かります。
  • 海外携帯電話レンタル割引
    海外用レンタル携帯電話を、レンタル用半額(250円→150円/日)、通話料も通常の10%割引で提供。(成田国際空港、関西国際空港、羽田空港(国際線ターミナル))

特典5 プロテクション

上記の旅行傷害保険以外にも、アメックスゴールドと同等の様々な保険・補償が提供されます。(同等というか、全く同じです)

  • キャンセルプロテクション
    急な用事・病気などで海外旅行やコンサート等にいけなくなった場合のキャンセル費用等の損害を補償
  • オンラインプロテクション
    インターネット上での不正使用による損害を全額補償
  • リターンプロテクション
    カードで購入した商品の返品を購入店が受け付けない場合、購入日から90日以内の商品の購入金額を払い戻し (1商品につき、最高3万円相当まで。1会員口座につき、年間最高15万円相当まで)
  • ショッピングプロテクション
    カードで購入した商品について、破損・盗難などの損害を購入日から90日間、一人年間最高500万円まで補償。(一部対象外の商品あり。免責金額:1事故につき1万円)
  • 盗難、紛失時の緊急再発行
    カードを紛失、盗難にあった場合、新カードを無料再発行。状況に応じて、至急再発行

特典6 エンターテイメント&ショッピング

  • アメリカンエキスプレスセレクト
    ショッピング、旅行、食事などの国内外の優待・特典が提供されます。(いわゆるクーポンです)
  • チケットアクセス
    各種イベントのチケットを一般発売に先駆けて案内されます。
    公演によっては、前方ブロックやアリーナなどの良席を用意してくれたりします。
  • ゴールドワインクラブ
    会員専用窓口で、入手困難な希少価値の高い銘柄の紹介や、ワイン選びの相談、ワインの購入などのサービスを受けることができます。
  • 京都特別観光ラウンジ
    京都にある国の重要文化財、高台寺圓徳院にアメックスが京都特別観光ラウンジを用意しています。圓徳院の拝観券売場でアメックスのカードを提示すると圓徳院書院・知客寮にてお茶の接待
    (宇治茶、梅湯、昆布茶、香煎茶など日によって変わります)
    夏は、冷たい麦茶、冷やし飴
    圓徳院の拝観無料
    高台寺・掌美術館の拝観割引
    高台寺駐車場1時間無料サービス
    同伴者3名様まで利用可能というサービスを受けることができます。

残念ながら、アメックスゴールドで提供されている

  • ゴールドダイニングby招待日和
  • Expedia 8%オフ

のサービスは付帯されません。

マリオットの上級会員にもなれる

2015年にマリオットがSPGを買収したことで、それぞれのグループのホテルプログラムが統合されました。

しかし、完全に統合されたわけではなく、少なくとも2018年までは、会員資格がステータスマッチされた状態での運用になるようです。

SPGゴールド資格を持っていれば、自動的にマリオットリワードのゴールド会員でもあり、既にマリオットの傘下に入っているリッツカールトンのゴールドエリート会員でもあるということになります。

また、SPGのスターポイントはマリオットやリッツカールトンで直接利用することはできませんが、手数料無料でほぼリアルタイムに交換可能です。交換比率は1:3で、交換単位は1,000ptです。スターポイントが1,000ptあれば、マリオットリワードポイントを3,000pt持っているのと同じです。

リワードポイントは、やはり無料宿泊に利用できるのですが、実はマリオットでの必要ポイント数はSPGに対して割安に設定されていることが多く、マリオットの最高ランクであるカテゴリー9であっても45,000ptつまりスターポイントで15,000ptです。

リッツカールトンでも最高ランクのホテルのポイントは70,000ptなので、スターポイントで24,000pt必要なのですが、それでもかなりお得だと思います。(ちなみに、マリオットもリッツカールトンもキャッシュ&ポイントでの宿泊が可能です。)

2018年にプログラムが統合されるようなので、そのタイミングで改悪されそうですが、今のうちなら非常にお得だと思われます。

アメックス・プラチナのインビテーションは来ません

年会費以外のデメリットとして、本カードがアメックスのプロパーカードではないということがあります。

扱いはゴールドカード並なのですが、このカードを利用し続けてもアメックスプラチナのインビテーションは来ないと思われますので、アメックスプラチナ狙いの人は素直にアメックスゴールドを持った方がいいでしょう。

SPGアメックスはこんな人に

SPGアメックスの年会費は、一般的なゴールドカードと比較しても高額な部類に入りますし、実際アメックスゴールドよりも高額です。

更に、アメックスゴールドの方が、若干ですが付帯サービスが優位なこともあり、そこだけ見ればアメックスゴールドの方良く見えます。しかし、何よりもSPG関連の特典が豪華な上、スターポイントをホテル・航空機で利用するという点ではSPGアメックスが圧倒的に有利です。

陸マイラーにしても、マイルへの還元率も高いのですが、アメックスのリワードポイントがJALマイルには交換できないのに対して、スターポイントは1:1で交換可能なことから、マイルを貯めるのにも優れたカードと言えるでしょう。

このカードを保有するかどうかは、上記の特典1, 2のホテルでの特典と航空券への特典に魅力を感じ、31,000円の年会費を払えるかどうかにかかっています。

つまり、年間に数回旅行に行く人、たまに(よく)一泊30,000円以上のホテルに泊まるという人には絶対お勧めですが、旅行もしないし、ホテルも高級ホテルには泊まらない。または一泊30,000円払うくらいなら一泊10,000円のホテルに3回泊まりたいという人には向かないでしょう。